巨匠 ハンス J ウェグナーによりデザインされたサイドボード、RY20。
幾つかのバリエーションをもつそれは、存在感や収納力、ハイレベルな造り込みなど、多くの点でキャビネットのベンチマークとも言える逸品です。
良い意味で大柄なサイズを感じさせないのは、やはり背が抜けているから。
壁が見えることで圧迫感なく設置が出来るほか、お気に入りを並べて楽しむのに最高のスペースとしても活躍してくれるのです。上段、下段の収納部を脚部パーツにより支えるというスタイルは当時のキャビネットメーカーが時折チャレンジした構造ですが、このモデルに関しては少し違う。
脚部で支えると言うより、サイドパネルで支える。そんな表現が正しいでしょうか。
組み上げると分かりづらいのですが、二枚の屈強なパネルが大型の収納部を
がっしりと支えていて、見るからに丈夫。これでもかという安定感は、他のセパレート型キャビネットの追随を許しません。華美な装飾なくシンプルに配置された抽斗も、手の掛かりやすい高さやつまみの持ち易さたるや。細かな検証を重ねた上で完成された事がひしひしと感じられます。
普通に見える、ほんの一工夫。それが如何に大切かを、このキャビネットは語っているよう。経年により美しさを増したチーク材も見所。
この存在感と、たっぷりと備わる収納。あえて造作のキッチンボードをやめて選ぶだけの価値あり、です。