特異なシルエットの異端児…。
このチェアへ抱いた最初の印象。
それは、どのデンマークモダンとも似つかない
このチェア独自のフォルムが余りに強烈だったからに他なりません。
決して線の細いデザインワークでもなく、けれども確実に存在する繊細さ。
ウェグナーとも、ヤコブセンとも、フィン・ユールとも異なる、パントンでもない何かを
このチェアは有しています。
まるで、無国籍モダンとも呼びたくなるような。。
また、近年まで誰のデザインかが二転三転し、大きく価格相場を変えたことで
アンティークオークションを沸かせたチェアでもあります。
デザイナーは、フィリップ・アークテンダー。
建築家として活動していた彼の家具デザインに関する情報は少なく、また、デザインした
家具自体の絶対量も少ないようですが、フィン・ユール同様に建築家としての
家具に対するアプローチが他と似つかない独自のシルエットを生み出したのであろうと
想像が膨らみます。
デザインに気後れすることなく、イージーチェアとしての快適性を有しており
シェーズロングを彷彿とさせる、かなり低く寝そべるように構えたそのフォルムから生まれる
何ともいえぬ、安心感に抱かれるような座り心地で迎え入れてくれます。
インテリアアイテムとしての存在感も、まさしく一級品。
空気感を変えてしまうような、そんなキャラクターをもった一脚です。