グランプリチェア。
なんでこんな名前かというと、知ってる方も多いですね。その名の通り、グランプリを受賞しているから。
Arne Jacobsen(アルネ・ヤコブセン) が手掛けた代表的な椅子の一つであるこちらは、発表した年に行われた国際的なデザインと建築の祭典「ミラノトリエンナーレ」で最高賞の”グランプリ”を受賞しました。
その後は製造過程の問題で一度は生産中止となりましたが、現在は当時と同じフリッツハンセン社にて復刻販売されています。
さて。ヤコブセンとフリッツハンセンペアの家具によく起こること。
それは、いつまでも好きな人がいるプロダクトだからこそ起こりえる素敵な現象。
最初に作った時と今の姿のどこかが、微妙に違う。
金具の留め方だったり金物の形状だったり。時には素材も変わっていたり。ずっと作り続けられてきたからこそ、時代ごとの技術進化を着実に家具へ取り入れているFHだから起こるこの差異。
ヴィンテージだけの形状。
みんなこれが好きですよね。特別に狙ったわけじゃない差異だからこそ、時代が見られるその違いに魅力を感じるのはヴィンテージならではの価値観です。
グランプリチェアに関して言えば、わかりやすい違いが一つあります。
現在製造されている脚部はクロームとウッドの2種類。このうちウッドに関しての見た目はほぼ同じです。
違いは脚部の付け根。今販売されているものはそれぞれの脚部が一体化されているのに対し、初期型の脚は1本づつが独立して固定されている仕様となります。
裏だから普段は目に入らない。でもヴィンテージって聞いたら覗いちゃう。普通にはわからないところだから、こういう違いを知っておくほど愛おしくなるのがヴィンテージチェアってものです。
座面はFHお家芸ともいえる成形合板の曲線デザイン。そしてこの座面を支える脚部には普段スチール脚のイメージが強い分、ウッドレッグを採用しているグランプリはそれだけで、他のヤコブセンチェアとの豊かな違いを感じます。
スチール脚と比べて、シンプルな構造の中にも細部へのこだわりと柔らかさが感じられるので、普段ヤコブセンをあまり意識してなかった方も取り入れ易いはず。
強度を確保するために脚部は太くしておきたいが、単調な造りにはしたくない、という思考が垣間見れる、脚部に施した特徴的な3方向のカーブ。
この工夫によって シルエットがぼてっと重く見えない。そしてこれを、1つの個性と見て取れるデザインにしていることに、グランプリ受賞も至極納得するシリーズです。
※こちらのチェアは構造上、強度の保証ができるものではございません。
日常で使う際の立ち座りの動作では問題ございませんが、背もたれに過度な荷重をかけると破損につながる恐れがございますのでご理解、ご注意くださいませ。
現在、
haluta karuizawa instock showroom にて展示または保管中です。